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ハタラク/パーセント

第4回|「有給休暇を全消化する人 58.3%」



「はたらく%」は、働き方や職場のリアルを“数字”で切り取る連載企画です。
統計や調査データをきっかけに、数字の裏にある人や企業のストーリーを読み解きます。
無機質な数字の中にも、誰かの悩みや工夫、喜びがあります。数字を知ることで、自分の働き方や職場を少し見直すきっかけになれば——そんな思いでお届けします。
「休めるのが当たり前」になった? それともまだ壁がある?
厚生労働省「就労条件総合調査」(2023年)によれば、年次有給休暇をすべて使い切った人の割合は58.3%でした。ここでいう「全部取得」とは、付与された有給を1日も残さず消化したという意味です。

かつて日本は「有給が取りづらい国」と言われ、2010年代前半には取得率(付与日数に対して実際に取れた割合)が50%を切る年もありました。しかし2019年から施行された「年5日の有給取得義務化」をきっかけに、全体の取得率は徐々に改善。2022年には62.1%と過去最高を記録しています。

意外なのは、多くの人が「どうせ義務の5日だけでしょ」と思いきや、実際には全日数を使い切った人が半数を超えている点です。"義務の5日を超えて6日以上取得した人"という条件ならば84.0%にのぼります。どうですか。「義務」なので、もちろん100%を目指すべきではありますが、この数値には「意外と高い」と感じた人も多いのではないでしょうか。

背景には、「義務だから従っておこう」のレベルを超えた企業の管理体制強化と「休んでも大丈夫だったんだ」という社員の意識変化があり、単なる“最低限の取得”にとどまらない動きが広がっているようです。
なぜ“休めるようになった”のか
1. 法改正の効果
2019年からの有給5日義務化が、企業に制度整備を迫りました。申請しやすい環境づくりや、取得状況の管理が進んでいます。

2. 働き方改革の浸透
長時間労働を是正しようとする流れの中で、「休むのも仕事のうち」という考え方が広まりました。

3. 人材不足への対応
休みが取りにくい職場は人が定着しにくいため、採用競争力を高めるために“休みやすさ”を前面に出す企業が増えています。

4. コロナ禍での意識変化
感染症をきっかけに「体調が悪い時に無理して働かない」文化が根づき、有給を使うハードルが下がったようです。
有給休暇にまつわるリアルな声
Xでは「上司が積極的に休めと言ってくれるようになった」「全消化が評価対象になる会社もある」といった前向きな声が投稿されています。
一方で「忙しくて結局、義務分の5日しか取れなかった」「周りに迷惑をかける気がして使い切れない」という声も依然残っています。

また、育児世代向けの情報サイトでは「子どもの看病や行事で有給をほとんど使い切ってしまい、自分のために休めない」という悩みも紹介されていました(例:子育て情報サイト ママスタ)。
JOY TO WORKS流の「有給活用術」
有給休暇は「義務だから取る」だけではもったいない時間です。
休むことによってリフレッシュし、働く意欲や成果に還元できるかどうかが大切になります。
JOY TO WORKSでは、有給を単なる“休み”ではなく「自分を整え、次の仕事をより良くするための投資」と考えています。そのために押さえておきたいポイントがあります。

1.計画的に休む:直前の申請では取りにくいので、年初にまとまった日数を仮押さえしておくと安心です。

2.休みを“学び”や“経験”に使う:旅行や趣味だけでなく、資格取得や地域活動など、成長につながる過ごし方を選べます。

3.企業と共有する文化を育てる:「休む=迷惑」ではなく「休む=新しいエネルギーを持ち帰る」と捉え直すことで、職場全体が休みやすくなります。

こうした工夫によって、有給休暇は単なる“消化すべき義務”から“次の一歩につながる時間”へと変わっていきます。
58.3%は十分か、それとも道半ばか
半数以上が有給を全消化するようになったのは、大きな進歩です。単に義務の5日をこなすのではなく、全日数の取得を実現した企業努力があったからこそ生まれた数字でもあります。制度整備や管理体制の強化に取り組んだ企業には、評価に値する成果だと言えるでしょう。

それでも「忙しさ」や「人手不足」を理由に消化しきれない人がまだ4割超いるのも現実です。そして、取得できたとしても、その時間をどう過ごすかによって意味は大きく変わります。休むこと自体がゴールなのではなく、心身を整えたり学び直したりと、有給を充実させてこそ「次の仕事」へのエネルギーにつながります。

あなたは有給を“全部使う派”? それとも“残してしまう派”?

次回は——「残業時間が月45時間を超える人〇%」。
働き方の限界ラインに迫ります。
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