「休めるのが当たり前」になった? それともまだ壁がある?
厚生労働省「就労条件総合調査」(2023年)によれば、年次有給休暇をすべて使い切った人の割合は58.3%でした。ここでいう「全部取得」とは、付与された有給を1日も残さず消化したという意味です。
かつて日本は「有給が取りづらい国」と言われ、2010年代前半には取得率(付与日数に対して実際に取れた割合)が50%を切る年もありました。しかし2019年から施行された「年5日の有給取得義務化」をきっかけに、全体の取得率は徐々に改善。2022年には62.1%と過去最高を記録しています。
意外なのは、多くの人が「どうせ義務の5日だけでしょ」と思いきや、実際には全日数を使い切った人が半数を超えている点です。"義務の5日を超えて6日以上取得した人"という条件ならば84.0%にのぼります。どうですか。「義務」なので、もちろん100%を目指すべきではありますが、この数値には「意外と高い」と感じた人も多いのではないでしょうか。
背景には、「義務だから従っておこう」のレベルを超えた企業の管理体制強化と「休んでも大丈夫だったんだ」という社員の意識変化があり、単なる“最低限の取得”にとどまらない動きが広がっているようです。