「あの会社、手書きじゃない履歴書は即ゴミ箱らしいよ……」
そんな噂、聞いたことありませんか?
誰が言ったのかはわからない。でも、どこかで確かに聞いた。
これぞ、就活都市伝説。
履歴書は、就職・転職活動の第一印象を左右する書類。
その重要さゆえに、「やっぱり手書きのほうが誠意が伝わるよね」という思い込みが長らく生き続けてきました。
でも本当にそうでしょうか?今回は、この古くて新しい“迷信”の正体を暴いていきます。
まず結論から。
「履歴書は手書きの方が印象がいい」は、もはや迷信です。
就職・転職支援サービス「dodaキャリアガイド」によれば、履歴書の作成方法は手書きでもPCでも構わないと明言されています。
東京しごとセンターの就職・転職コラム「履歴書は手書きとPCどちらが良い?」でも、半数以上の企業が「どちらでも良い」と回答しているという内容が示されています。
つまり、応募先から明確な指定がない限り、PC作成で全く問題ないのが、いまの採用現場の常識です。
たしかに、昔ながらの企業や職人気質の現場では「手書き文化」が根強く残っているところもあります。
だからこそ、「手書きでないと落とされるかも」という不安が消えないのです。
そして最近はむしろ、「手書きは少数派だからこそ、目立って有利なのでは?」という“逆張り理論”まで出てきました。
しかし、これには冷静に反論できます。
「手書き=誠実さが伝わる」というイメージは、たしかに一定の説得力があります。実際、「丁寧に書かれていて印象がよかった」と語る採用担当者もゼロではありません。
ただし、ここで大事なのは“全体としての傾向”です。
求人媒体dodaによれば、中途採用の現場では9割以上の企業が「履歴書はPCでOK」という姿勢を取っているとのこと。
つまり、よほど「手書き指定」の企業でない限り、PC作成の方が読みやすく、修正も容易で、誤字も少ないという点から、むしろプラスに働くケースも多いのです。
たしかに、すべての応募者がPCで作成する中で、手書きの履歴書が1通だけ混じっていたら、採用担当の目に留まるかもしれません。
でも、それが“良い意味で”目立つとは限りません。
現代の採用現場では、履歴書はPDF化して管理・共有されるのが当たり前になっています。
その中で手書きの履歴書だけがスキャンされて文字が読みにくい、ファイル形式が違う、文字検索にかからない──そんな“面倒くささ”が印象に残ってしまう危険もあるのです。
「目立つ=好印象」とは限らない。これは、履歴書にもあてはまります。
実際に人事担当に聞いてみると、こんな声が多く聞かれます。
「手書きかPCかよりも、内容が大事」
「書式は自由。むしろ読みにくい手書きは困る」
「応募者が気にしてるほど、気にしてない」
これが、リアルな“ホンネ”です。
手書きかPCか──この選択に悩んで時間をかけるくらいなら、内容にエネルギーを注ぎましょう。
あなたのこれまでの歩み、これからのビジョン、そして応募企業に対する想い。
それがしっかり伝わるものであれば、形式はどちらでも構わないのです。
「この人に会ってみたい」
そう思わせる履歴書こそが、最高の一枚です。
履歴書の形式に悩んで、わざわざ書き直したり、夜中まで書いては捨てを繰り返したり……。
そのがんばりが報われることも、たしかにあるでしょう。
でも、あなたの大切な時間と力は、“中身を磨く”ために使ってほしい。
今、人事が「おっ」と思うのは、手書きではなく、“伝わる言葉”です。
FILE#02|「未経験歓迎」なんて実は建前……って本当?
「あの求人、“未経験歓迎”って書いてあるけど、本当は経験者が欲しいんじゃないの?」そんな不安、抱いたことありませんか?
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