JOY TO WORKS MAGAZINE
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会社案内に載ってないハナシ

有限会社マネジメントコンサルタント 編

第一話|介護をしていた会社が、NYピザとスープカレーを出すまでの話



会社案内を読めば、その会社が何をしているかは分かります。ただ、「なぜそうなったのか」「どうしてこの形に落ち着いたのか」までは、書ききれないことも多いものです。
有限会社マネジメントコンサルタントも、その一つかもしれません。介護事業を続けてきた会社が、就労継続支援B型事業所を立ち上げ、さらにNYピザとスープカレーを出す飲食店を運営している。並べてみると、少し意外な組み合わせです。
でも実際に話を聞いてみると、そこには場当たりでも思いつきでもない、一本の流れがありました。それでは今回は、有限会社マネジメントコンサルタントの梅原三輝さんに、会社案内に載っていないハナシを聞いてみましょう。
Q1
この会社は、何をしている会社ですか?
有限会社マネジメントコンサルタントは、札幌市清田区を拠点に、介護事業・就労支援・飲食事業を運営している会社です。介護事業では、認知症対応型共同住宅(グループホーム)「エンゼルホーム北野」を運営し、少人数の入居者の暮らしを支える日常の介護を行っています。

就労支援では、就労継続支援B型事業所「ANGEL」を運営し、企業で働くことに不安や困難がある方に向けて、働く場と作業の選択肢を提供しています。ハンドメイドグッズの制作・販売やオンラインショップ運営など、利用者の「やってみたい」に合わせて作業内容を組み立てていくのが特徴です。

さらに飲食事業として、NYスタイルのピザやスープカレーを提供する飲食店「DINER JOINT CLAP」も運営しています。現在は、こうした複数の事業を同じ会社の中で展開しています。
Q2
なぜ、今のような事業構成になっているのですか?
順番で話した方が分かりやすいと思います。

当社に最初からあったのは、グループホームを中心とした介護事業です。現場で高齢者の方と向き合う中で、介護という仕事が、本人だけでなく家族や生活全体と深くつながっていることを日々感じていました。

その中で次に強く意識するようになったのが、「働く場」の問題です。介護の現場で向き合っているのは、介護サービスそのものだけではなく、暮らしの土台や人とのつながり方でもあります。そうした生活全体を見ていく中で、「日中に通える場所があること」「役割があること」が、その人の状態や家族の負担感にも影響する場面を多く見てきました。

そこで立ち上げたのが、就労継続支援B型事業所です。これは新しい事業を増やすというより、「今関わっている人たちと、別の形でも関われないか」という発想から生まれたものです。

飲食事業であるDINER JOINT CLAPも、その延長線上にあります。支援する側・される側という関係をいったん外し、もっとフラットに人が集まり、役割を持てる場所をつくりたいと考えました。飲食という形は、そのための一つの手段でした。

こうして振り返ると、事業が増えた理由は「多角化」や「拡大」を目的にしたものではありません。その都度、目の前にあった課題に対して、今の事業だけでは足りないと判断した結果、次の形が必要になった。その積み重ねが、今の事業構成になっています。
Q3
就労支援B型事業所には、どんな考え方で取り組んでいるのですか?
就労継続支援B型事業所を始めたとき、私たちが意識していたのは、「制度としてどう運営するか」よりも、「目の前の人とどう関わるか」でした。

働く意欲はあっても、一般就労という枠にそのまま当てはめるのが難しい人は少なくありません。そうした人たちと、無理のない形で関わり続ける方法として、B型という形を選びました。

大切にしてきたのは、B型を「居場所」で終わらせないことです。安心して通えることは前提ですが、通うこと自体が目的になってしまうと、その先が見えなくなる。ここで過ごす時間が、その人にとって何につながるのかを、常に考えてきました。

作業内容や関わり方を一律に決めるのではなく、その人が何に関心を持ち、何ができそうかを見ながら一緒に組み立てていく。ハンドメイド制作やオンラインショップの運営も、作業を用意するためではなく、役割を持ち、手応えを感じてもらうための手段です。

支援する・されるという関係で固定せず、できることが増えれば任せることも増える。一人の「働く人」としてどう関わるか。その姿勢を大切にしてきました。
Q4
DINER JOINT CLAPは、どんな場所として生まれたのですか?
DINER JOINT CLAPは、アメリカンピザやスープカレーを目当てに足を運ぶ人が多い、地元ではかなり人気の飲食店です。料理の味やボリューム、空間の雰囲気そのものが評価され、「飲食店として行きたい店」として選ばれてきました。

その一方で、この店は就労支援の実践の場にもなっています。ただし、そのことを前面に出しているわけではありません。お店を訪れるお客様の多くは、ここが支援と関わりのある場だと特別に意識することなく、純粋に食事を楽しんでいます。

それが成り立つのは、「食事をする」という行為そのものが、「人に自然な役割を与える」からだと私は分析しています。注文を受ける人がいて、料理をつくる人がいて、運ぶ人がいる。そこに特別な説明や線引きは必要ありません。お客様もスタッフも、それぞれが自分の立場でその場に関わる。その関係が、店内ではごく当たり前に成立しているのです。

その結果として、働く側にも経験が積み重なっていきます。接客や調理、時間の管理、チームで動く感覚など、日常の仕事の中で身につくものがある。「支援」という言葉を使わなくても、実践の場としての役割は確かに機能していると感じています。
Q5
事業が増えていく中で、ご自身の中ではどう整理してきたんでしょうか?
私たちの事業を貫いている考え方を一言で表すなら、「接遇」だと思います。介護、就労支援、飲食と事業は違っていても、「人と向き合う」という点では本質的に同じことをしているという感覚があります。だから、事業ごとに考え方を切り替えている意識はあまりありません。

「接遇」というと、マナーや言葉遣いみたいなものを連想されがちですが、私たちが大切にしているのはもっと根本的な部分です。「相手をどう見るのか」「どこまでをその人の役割として捉えるのか」。その前提の置き方が、現場の空気や関係性を大きく左右してきました。

介護や就労支援の現場では、「支援する側」と「される側」という関係が固定化しやすいと感じています。その構図が強くなり過ぎると、本人の主体性や力が見えなくなってしまう。だから私たちは、必要以上に「支援」という言葉や役割を前に出さないようにしてきました。できることは任せ、難しいところは一緒に考える。その自然な関わり方こそが、私たちの考える「接遇」です。

この姿勢はDINER JOINT CLAPでも同じです。事業の種類によって人への向き合い方を変えることはありません。お客様もスタッフも、その場に関わる一人の人として自然に接する。その積み重ねが、各事業の信頼や雰囲気につながっていると考えています。
Q6
結果として、働く場としてはどんなふうに受け止められてきたと思いますか?
私たち自身が「こういう職場です」と強く打ち出してきたわけではありません。ただ、現場を続ける中で、「ここなら働けそうだ」「無理せず関われる」と感じてくれる人が多かった、という実感はあります。

介護や就労支援B型事業所では、最初から明確な目標や高いスキルを求めてきたわけではありません。自信がなかったり、働くこと自体に不安を抱えている人が多かったからこそ、できることから関わってもらい、その人のペースに合わせて役割が生まれていく形を大切にしてきました。

その結果として、就労支援B型事業所での経験を経て一般企業に就職した人もいますし、別の仕事に挑戦するきっかけを見つけた人もいます。全員が同じゴールに向かうわけではありませんが、「何年通ったか」ではなく、「何を積み重ねたか」が次につながっていると感じています。

「役割を最初から決めつけられない」「無理のない距離感で関われる」。そうした点が、働く場として自然に受け止められてきた部分なのだと思います。
Q7
これからについては、どんなふうに考えていますか?
大きく何かを変えようとか、急に広げていこうという考えは、今のところありません。これまでやってきたことを丁寧に続けながら、目の前の人や現場と向き合っていく。その積み重ねの先に、自然と次の形が見えてくればいいと思っています。

介護も、就労支援も、飲食も、すべて「人が関わる場」です。だからこそ、制度や枠組みよりも、そこで生まれる関係性や空気を大事にしたい。その考え方自体は、これからも変わらないと思います。

今ある事業をきちんと続けること。その中で、人が育ち、次の一歩につながっていく。私たちにとっての「これから」は、特別な目標を掲げることよりも、そうした日々を積み重ねていくことなのだと思います。
Q8
【取材協力】
有限会社マネジメントコンサルタント

主な事業内容
・介護事業
・就労支援B型事業所の運営
・飲食事業(DINER JOINT CLAP)

就労支援B型事業所
・エンジェルホーム
(介護・就労支援を軸にした地域密着型の事業所)

飲食事業
・DINER JOINT CLAP
(アメリカンスタイルのピザやスープカレーを中心とした飲食店)

公式ページ
https://www.joytoworks.com/angel-home
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